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[春の味覚]


春、雪溶けの頃になると一斉に芽吹く山菜たち。スーパーや道の駅などでも新鮮な山菜が手に入るようになりました。サクサクと香ばしい揚げたての山菜の天ぷらは、ほろ苦い春の香りが口いっぱいに広がります。
中でも山菜の王様とも呼ばれるのがタ ラの芽です。揚げたての天ぷらは外はカリッと中はホクホクとした食感で、ほんのり苦みがあって春の到来を感じます。タラの芽はタラノキというウコギ科の植物です。同じウコギ科でハリギリというタラノキに良く似た植物があります。ハリギリも芽は食用でき、天ぷらなどにします。


[芽は山菜、木は木材]


ハリギリは、タラノキ同様、若い枝にはトゲがあります。太い幹にはトゲは無く、深い裂け目の入った樹皮が印象的です。ハリギリの葉は手のひらのような形でカエデの葉に似ています。大木になると高さ20〜30メートルにもなる広葉樹です。ハリギリは木材業界では「栓」と呼びます。木は家具や突板、楽器などに使われます。別名「センノキ」と言います。


[寒さに強い]


栓は日本各地に広く分布しています。特に北海道産の栓は良材が多く、木材として使われているほとんどが北海道産だそうです。栓の冬芽はマイナス70度まで耐えられるそうで、厳寒の北海道でも育つ数少ない広葉樹のひとつです。


[力強い木目]


栓のもう一つの特徴は木目です。力強いはっきりとした木目は広葉樹の代表格「欅」によく似ています。栓を拭き漆で着色すると、欅のように見えるので欅の代替品として扱われます。見た目は欅とよく似ていますが、欅はずっしりと重く栓の方が軽く感じます。


栓の板目。欅に似た力強い木目と白系の色が特徴。

栓の板目。欅に似た力強い木目と白系の色が特徴。


[心材と辺材]


栓は心材と辺材の境界がはっきりしていない木です。心材の色は淡い灰褐色、辺材は淡い黄白色でそれほど明確にわからないのが栓の特徴です。


[部屋に合わせやすい]


栓の白色系の明るい色やきれいな木目は現代の住宅に合います。ダイニングテーブルやカウンターの天板など広い面に使うと、栓の木目がいかされます。我が家では奥行き40センチほどの栓の一枚板を花台にしています。低い脚を取り付けただけのシンプルな台です。普段は和室に置き床のように使っています。持ち運べる大きさなので洋室に置いて植物を飾ることもあります。木目がきれいでいかにも木らしい表情は、部屋に置くだけで良い雰囲気を作ります。


国産材の中では濃い色を持つ日本のウォールナット(鬼胡桃)

木目には1/f ゆらぎがあり心地よく感じます。


[見える所触れる所]


木の木目は規則性がありそうで微妙に不規則な模様のように見えます。そんな自然界が作り出す模様「木目」には心地よいと感じる1/fゆらぎがあり、人の気持ちを穏やかにするといわれています。部屋に木のテーブルや家具が置いてあるとリラックスできる雰囲気を感じるのは、ゆらぎを持つ木目の効果でもあります。ガラスやプラスチック、コンクリートといった人工素材にはない効果です。栓のように木目がきれいな木は見える所、触れる所にこそ使いたい木です。


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