リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
猫のいる家庭で育ったわたしが犬と暮らすなんてことは、お兄ちゃんワンコと出会うまではまったく想像もできなかった。
犬に対して良いイメージを持っていなかった理由は2つある一つは、小さい時に白くて大きな犬に追いかけられたことがトラウマに
なったこと。もう一つは、お散歩しているワンコが服を着ていることに対して「どうして?」と疑問しか持っていなかったからだ。
ところがどうだろう。いざワンコと暮らしてみると、着せてしまうのだ。夏はTシャツに浴衣、冬はジャンパーにダウンにマフラー。季節ごとに自分の服よりも高い服が増えていく。我が家の納戸の一角はワンコの洋服コーナーと化している
ワンコには、お散歩をするとワンコ友達ができる。よそのワンコは本当にかわいい服を着ていて、うちだけが裸族(らぞく)だと、ちょっと気おくれすることも服が増える理由だが、それにも増して、服を着るとかわいさが増してしまうのだ。イベント
ごとも大忙しで、ハロウィンにはカボチャを被り、クリスマスにはサンタの衣装、お正月には干支の被り物で年賀状を飾り、桜が咲けば桜の下で撮影会、端午の節句には鯉のぼりを背負ってポーズ。気がつけば一年中コスプレしている( させられている)のだ。
こう書くと、「犬も気の毒に…」と非難の声が聞こえてきそうだが、ワンコたちもまんざらではないようだ。ポーズを取るごとに「かわいいね〜」といわれ、通りすがりの知らない方にも「かっこいいね〜」といわれるたびに、目がキラキラ、背筋もシャン
と伸びる。怒るとそっぽを向いて聞こえないふりをするが、誉め言葉はとてもよく聞こえるのはワンコ共通の特長なのだろう。「来年も、たくさんのイベントを一緒に過ごそうね!」と弟ワンコに話しかけてみるが、薄目を開けて知らんふり。きっと心の中ではワクワクしているに違いない、とそう思うことにしよう。
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
犬との暮らしを綴ったほのぼのコラム