リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
身体の不快感の多くは感情や苦痛を伴い出現しています。日本人は感性が豊かな民族なので、そういった不快感を「からだことば」として表現しています。「からだことば」は感覚的にも捉えやすく、その言葉の中に対策も隠れている場合も多いため、代表的な「からだことば」を何点かピックアップしその言葉のもつ意味と対策をご紹介していきたいと思います。
嫌な出来事や状況に対し、イライラしたり頭に血が上るような感覚はストレス社会の現代ではよくあることかと思います。言葉通り頭の方に意識と重心が上がるので、それらを下の方に下げてあげることが大切になります。生理学的にはアドレナリンという、心拍や血圧を上げ戦闘態勢になるホルモン分泌により交感神経が優位になった状態です。これを解消するには実際に戦うことが一番生理作用に適っています。とはいっても誰かと戦うと色々と弊害が出るので(笑)、外の何かではなく自分の身体と戦うのが良いでしょう。戦うことによりホルモン分泌をコントロールし、上がった意識と重心を下に下げてあげます。下の方に意識を向け、自分の身体と戦う一番の方法、それは「スクワット」です! 下半身がきつく感じるまでスクワットを繰り返しましょう。呼吸もれするでしょうが、頭にくることで上昇したアドレナリンが激しめのスクワットでクリアになり、戦闘モードが解除され興奮が解消されていくのが感じられると思います。
余談になりますが、頭にきたときとコンサートやアトラクションで興奮した時の身体の中で起きる生理作用(アドレナリン分泌や交感神経の興奮など)は同じ働きだと考えられています。違うのは環境とそれを捉える思考だけ。頭にきたときは「これからジェットコースターに乗るんだ」と考えてみるのも余分思考に囚われない方法になると思います。
忙しいときはまさに目が廻る感覚! 頭の中がごちゃごちゃし、落ち着きのない気分に囚われてしまいます。目が廻ると作業効率も低下し、無駄に疲ればかりが溜まります。状況を整理し落ち着いて分析し、効率を上げていくためにもここは「深呼吸」がおススメです。まさに「一息つく」こと。できるだけ大きな呼吸、吸った時と吐いたときの間は、それぞれワンテンポ入れます。呼吸を観察するようにしっかりと空気の出入りを感じて繰り返します。呼吸というのは毎日してる割には意外としっかり感じて行うことが少ないものです。呼吸の感覚にフォーカスし、1分ほど取り組めば自分の状態を俯瞰して見ることが出来ると思います。脳にしっかり酸素が供給され、スッキリした気分で廻った目も落ち着けてくれるでしょう。
生きていると、思わぬ悲しい出来事に遭遇したり、無力さを感じることもあります。本当に心臓が締め付けられたかのように胸が苦しくなります。ストレスホルモンや自律神経の働きでそういった感覚になることが考えられますが、そういった時はリズム運動に取り組みましょう。ウォーキング、ジョギング、縄
跳びなどが最適ですが、難しいときはガムを噛んだりリズム感のある音に身を委ねるのも効果的です。リズム運動はセロトニンという安心感を与え意識を覚醒してくれるホルモンの分泌を促してくれます。ストレスホルモンに占拠された身体をセロトニンで一新し、気分を解放してくれると思います。
丈夫な骨が折れてしまうくらい疲れてしまう。ハードな課題に向き合ったときは心身共に疲弊してしまいます。そういう時は、折れた骨がしっかりくっ付くようなイメージで、全身を丁寧にストレッチしてみましょう。少し時間をかけて10分から30分、全身を丁寧に心地よくストレッチしてあげます。痛くない程度でのびやかに身体を動かすと筋肉の循環が回復し、心のストレスも取り除いてくれます。終わった後は身体も心も骨がくっついたようにシャキッと骨太な感覚を味わえます。
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
犬との暮らしを綴ったほのぼのコラム