中古住宅+リノベーション/戸建て
学区優先で見つけた旗竿地。吹き抜けリビングは光さんさんで気持ちよさ満点!<札幌・中古リノベ・戸建て>
アルティザン建築工房
南西面からは手稲山も見える旗竿のような変形敷地
「うちは転勤族なんですが、2年前に札幌に戻ってすぐに物件を探し始めました」と話すのはご主人。3人のお子さんのうち、ご長男はすでに小学校に上がっていたため、学区内に絞り込んで中古物件を探したといいます。そして、探索し始めてからそう時間をおかずに見つかったのが、四方を住宅やアパートなどに囲まれた旗竿地でした。
旗竿地は公道に接する部分が少なく、細く長いアプローチの先に敷地が広がる旗のような形状で、一般的には日当たりの問題などから敬遠されがちなため、買い手がつきにくいとされている物件です。
見つかった旗竿地は完璧に建物で囲まれているわけではなく、北東面には駐車場が広がり、南西面の一部は建物がなく手稲山に向かって視線が通る状況。隣接するアパートの窓も共用廊下のもののため、そんなに他人の目を気にする必要はないと判断しました。また、物件の性質からして「すぐに売れてしまうことはないだろう」と見込んで、ほかの物件も探しつつ候補として残しておくことにしたといいます。
物件を下見したその日にラフプランを作成して提示
アルティザン建築工房のことは、本誌プランドゥリフォームで知ったというBさんご夫妻。「木を使っている感じなど全体の雰囲気がよく、特に妻が気に入りました」とご主人。 実際の家を体感できるオープンハウスにも出かけ、たまたま待機していた設計室の澤田さんに出会いました。そして、リノベーション前提で中古物件を探し、候補の一つが旗竿地であることを説明。一度その物件を見てもらうことにしました。
「公道に接する幅員が3mあって条件的にはいい旗竿地でした」と振り返る澤田さんは、物件を調査したその日にラフプランを作成。ご夫妻の希望をうかがう前でしたが、話の糸口になるようにと、総2階建ての間取りをなるべく活かしてコストを抑えたプランを提示しました。
明るく気持ちのよい暮らしの空間へ
澤田さんのラフプランに対して、ご夫妻からは具体的な要望が出されていきました。一つは日当たりのいい空間。特にご主人は、ラフプランにはなかった吹き抜けのイメージを持たれていました。さらに1階は居室なしでよく、2階に子供部屋3室と主寝室が取れればいいということも、ご夫妻から伝えられました。「いろいろお話をうかがっていくなかで、暮らしの器という以上に、明るく気持ちよく暮らすことを重視されているとわかったので、プランも大きく変えました」と澤田さんは話します。
階段はリビングに設けましたが、これについてご主人は「いまはまだ子供たちが小さいのでいいですが、中学・高校と成長してきた時にも、出入りの際に顔を合わせられるようにしたいと思ったんです」と、その意図を話します。「2回目のプランを見て、いいなと思いました」と奥さま。「あとからの変更は、わたしの希望で2階のウォークインクローゼットの壁をなくして物干しスペースにしたのと、主人の希望で小さなベランダを設けてもらったことくらいです」希望が盛り込まれた上に、小上がりやキッチン背面から窓側まで一体の収納など、プラスαの要素も加わり、“我が家”が具体的な像となって見えてきました。
さまざまなアイデアが楽しげに織り込まれて
大きな4枚のガラス窓から差し込む光もさんさんと明るく、気持ちのよいB邸。吹き抜けの天井は、奥さまが「どこかに使いたい」と思っていた羽目板で仕上げ、間接照明を点けると浮き上がって見えるようにしました。また、クロスを張る際に使うノリのニオイが苦手な奥さまのことを考え、寝室と畳コーナーは塗り壁に。どちらもご夫妻で壁を塗り、作業を楽しむ一方で、費用も少し節約できました。階段手すりのデザインは、奥さまがインスタで見つけたものを採用。壁側の手すりには澤田さんのアイデアで、足元を照らしつつ夜を彩る間接照明を入れています。
物件探しからプランニング、そして工事まで、トントンと小気味よく進んだBさんの家づくり。住む人とつくる人の言葉のキャッチボールの軽快さが、そのまま住まいに投影されたかのような、気持ちよく快活なお住まいです。
Data
- 築年数:築26年
- 種別・構造:木造2階建て
- 床面積:1階61.56㎡(減築1.01㎡) 2階51.84㎡(減築10.73㎡)
- 工期:約3.5ヵ月
- リフォーム費用:約2,300万円
- プランドゥリフォーム vol.39号 掲載