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暮らしのアイデア

小ワザの効いた 味ある空間

それがなくては、ありきたりの、つまらない住まいになってしまう――そんな空間があるものです。
たとえば、土間。それに、小上がり。あるいは、キッズスペース。個性ある住まいに欠かせないそんな空間の魅力を実例を見ながら再認識してみましょう。


メイン画像

■ 自転車2台を置き、大きな姿見を据えてもゆとりのある土間。靴をしまうのも高さに余裕のある棚にして、見せる収納でおしゃれに。奥の窓から自然光が差し込んで、明るく使いやすい空間です


 

土間



玄関まわり、不満解消の切り札


リフォームやリノベーションの際に、玄関に大きく土間を設ける施主が増えているようです。本誌紹介の施工事例のなかにも、さまざまなサイズや用途の土間を見つけることができます。たとえば、上の写真は、中古マンションのリノベーションで、洋室ひとつ分ものスペースをあてた土間です。趣味の自転車やサーフボードをディスプレイして、いつでも眺めたり、手入れをしたりできます。


もうひとつ、写真②は、玄関の三和土をうんとワイドにして奥にクロークを設けた戸建てのリノベーション。ベビーカーを置いても狭くならないほどのゆとりがあります。以前に比べれば、シューズボックスなどの収納スペースが重視されるようになったものの、標準的なマンションや建売住宅、それに注文住宅でもオーソドックスな設計であれば、玄関にはさほど大きな面積を割り当てないのが、まだ普通ではないでしょうか。当初はそれで満足でも、家族が増え、ライフサイクルが変わるにつれて、狭さ、不便さ、片付かなさに不満を感じるようになります。とりわけ、戸建て住宅とは異なり、自由に使える玄関先や庭先というものがないマンションでは、その不満も大きいはず。


土間イメージ1

写真②


その不満解消の切り札が、土間です。キャリーバッグや自転車、スキー板などの保管と手入れ、ちょっとした日曜大工、土のついた野菜類の置き場所、ペットのグルーミングほか、暮らしに応じて便利に使える土間をリフォームやリノベーションの機会に住まいに取り入れてみませんか。


 
便利さ再発見の多目的スペース


日本の古い農家や町屋にあった土間は、家屋内でも地面と同様に靴を履いたまま使う空間です。農家では、玄関の三和土とひと続きになった広い土間で、家族が炊事や農作業に関わるいろいろな手仕事をしました。隣家とぴったり接するように建った商店街の狭小な町屋では、土間は店舗の奥から廊下のように延びて奥庭に通じ、途中で茶の間や台所に上がれるようになっていました。土間は、それひとつで通路(動線)・作業場・物置・交流の場を兼ねた多目的スペースだと言えます。
そうした古い日本家屋をおそらくは実体験としては知らない若い世代が、土間の便利さや見映えに気づいて積極的に住まいに取り入れているのが面白いところです。


 
結露対策で、通年、心地よく使う


便利な土間ですが、冷気と結露に気をつけなくてはなりません。土間は床下から冷気が忍び込んで底冷えしやすくなるので、床材の下に断熱材を敷いて、冷気をカットする対策が必要です。冷気対策は結露対策でもあります。とくに冬場は土間の空気と室内の暖気との温度差が大きくなって、玄関付近の壁に結露が生じやすくなります。
床暖房を敷設したり、珪藻土やしっくいなど調湿効果のある壁材を用いたりする対策を施すと安心できます。もうひとつ付け加えると、汚れやすいのが前提の土間ですから、掃除しやすい仕上げにすることが大切です。ホコリを掃いた後、さっと雑巾がけする程度で手入れの済む、タイルや長尺シートなどが標準的な床材です。


 

小上がり



和室をまったく無しにするリフォームやリノベーションが多い一方、新しく小上がりを設ける施工例もよく目にします。たしかに床座のくつろぎには捨てがたいものがあります。
下の写真は2世帯住宅の子世帯に配した6帖分の広い小上がりです。ここは3人の子どもたちの遊びと勉強の場で、炊事中でもキッチンから様子が見えます。小さな子どもがいると、どうしても家が散らかりやすいのですが、小上がりが問題解決に役立つかもしれません。床面よりも一段高いことによって、仕切らなくても境界範囲をはっきりさせることができますから、ものがあちこちに散らかるのを防げそうです。


小上がりイメージ1

■ 面積・位置とも小上がりが住まいの中心。小上がり下の引き出しは子どもでも出しやすいキャスター付きで、中央の畳を外すと掘りごたつに


写真③はリビング・ダイニングに接した4.5帖の小上がり。赤ちゃんを寝かせたり、おむつ替えをしたりするのに便利という施主ですが、落ち着いたつくりの小上がりは、このまま来客をもてなすスペースにもなりえます。木の質感が豊かで柔らかい印象の仕上がりで、角を斜めに切って一段低くし、上がりやすく。 小上がりの下は容量のある引き出し収納になっています。


小上がりイメージ2

写真③


 
使い方自由、くつろぎの柔軟空間


ワークスペースという用途もあります。ふだんはパソコン作業などをする場所になっているのが、次の写真にある小上がり。少し奥まった感じで作業に集中できそうです。引き戸を閉めると独立した空間になるので、訪問客が泊まる時には客間として利用します。このように、開放して良し、仕切って良しなのが、小上がり。長所は床座のくつろぎにとどまりません。リビング・ダイニングと連続性を持たせれば、空間をより広く感じさせ、しかも見た目に変化をつけてくれます。もうひとつメリットを挙げれば、暮らしの気分が変わること。たとえば、いつもはダイニングテーブルでの夕食も、みんなで鍋を囲む晩なら、小上がりに移動して座卓で楽しむということもできます。
リフォームやリノベーションには、使いでのある小上がりを取り入れる検討をどうぞお忘れなく。


小上がりイメージ3

■ いつもはご主人のワークスペースとして活用。 引き戸で締め切ることができるので客間にも。 小上がりの下はたっぷりの収納スペースを確保


 

キッズスペース



子どもが楽しい家は大人も心地よい


戸建てへの住み替えを考える若い家族にとって、その動機に「子どもをのびのび遊ばせたい」は必ず入っているはず。ならば、リフォームやリノベーションでキッズスペースをつくってはいかがでしょうか。写真④は、フルオーダーでこしらえたオリジナルの「秘密基地」。和室の押入れを模したスペースは施主の発想から。これに滑り台を組み合わせたつくりで、子どもたちは上下左右に動き回って遊べます。
写真⑤にあるキッズスペースは、もちろん子どもたちの遊び場ですが、大人がちょっと腰をかけたくなる場所でもあります。居心地の良い空間は来客にも好評で、この家の「第二のリビング」にもなっているそうです。子ども用あり、子ども大人兼用ありとキッズスペースの在り方は暮らし方次第。自由な発想でプランを立ててみましょう。


キッズスペースイメージ1

写真④ ■大工さんの造作と特注建具でこしらえたオリジナル。子どもたちの成長後は押入れとして使える設計。

キッズスペースイメージ2

写真⑤ ■遊びにも勉強にも使える子どもたちの共有スペース。ときに大人も横になってくつろげる場所。


 

その他の工夫



暮らし弾ませる、個性的な空間


写真⑥は、リビングに続けてタイル敷のインナーテラスを新設した、マンションのリノベーション。無理なくバーベキューができるくらいの広さを確保した、施主のこだわりのプランです。
こうした半戸外空間は、採光や換気にプラスとなるのはもちろん、住まいの表情を豊かにし、暮らしの楽しみを増してくれます。マンションの場合、インナーテラス新設の分、居室の面積は減ることになりますが、半戸外空間の心地よさは、それを補って余りある魅力ではないでしょうか。


その他工夫イメージ1

写真⑥


下の写真は、20帖以上のLDKをワンルームにし、ロフトを組み込んだ個性的な住まい。写真中央の奥に見えるロフトは就寝スペースにもなります。広い居住空間にロフトが視覚的なアクセントを添えるだけでなく、ロフト下にできたスペースが収納に大いに役立つことになります。「普通っぽくしたくない」という施主の声を受け止めて、ひとり住まいならではの自由大胆なスタイルを実現したリノベーションです。


その他工夫イメージ2

■ 一空間で生活が完結できるワンルームスタイルの間取りに、落ち着いた色調のインテリアでロフトが悪目立ちしない。ロフトの下と横にたっぷりの収納スペースを確保


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