世代別リフォームのカタチ

世代が違えば、ライフスタイルも当然異なってきます。
また、同じ夫婦・家族でも年齢を経ることで暮らしや価値観に変化が生じるもの。
それぞれの世代がどんな住まいを求め、どんなリフォーム&リノベーションにたどりついたのか。
同じ世代や境遇にある読者の方なら共感できることも多いはず。
参考にしていただけること満載の今特集、じっくり読んで見て、あなたのリフォームにお役立てください。

 
 
20~30代のリフォーム


20~30代のリフォーム

今ならではの夢をかなえる
空間づくり

 初めての持ち家として中古の戸建て・マンションを購入し、リフォームして住む20~30代が増えています。新築にこだわらず、お買い得の中古住宅を探して、マイホームの夢を早く、無理なく、かなえているようです。

施主の声から
「ほかでは見たことのない格好いい斬新な家に住みたい」
「…住むスタイルが変わってもフレキシブルに対応できる…」
「…開放感だけでなく、子供たちの気配がよくわかる…」

 機能重視のリフォームはよいのですが、面白味に欠ける住まいになっては、もったいない。訪問客が思わず見とれてしまうような、遊び心ある設計やデザインで、楽しい我が家にしてみませんか。夫婦それぞれの趣味や個性を思い切り反映させて、心の弾む空間づくりを。
 住まいの開放感は、たんに広さだけの問題ではありません。それは、家族がそこにいるという気配や、声をかけ合えるというコミュニケーションにも関わってくること。リフォームでは、家具の配置や収納スペースと一体に考えて、気持ちよい開放感が保てるような配慮が大切です。
 小さな子供が暮らしの中心になる場合、リフォームは、近い将来を見越して、広さや位置を変えやすい、フレキシブルなプランが基本です。後々、必要が生じたら、例えば可変仕切りをちょっと改修するくらいで当面、暮らし心地が維持できるようにしておくのが賢明でしょう。

◆趣味と個性、全開で

 趣味や好みを大胆に取り入れて楽しめるのが、この年代のリフォームかもしれません。
 オーディオやビジュアルを鑑賞するホームシアター、手芸や絵画などに集中できるホビールームといった念願をかなえるチャンスにしてみましょう。スペースは少々狭いとしても、よい解決案をリフォーム会社が提示してくれるでしょう。
 仲間が集うホームパーティーの場をつくりたいという声もよく聞きます。ダイニング・キッチン中心のリフォームも、個性的で面白い空間になりそう。
 これは無理だろう、お金がかかりそう、と自己規制せずに、打ち合わせのテーブルには早いうちに載せて検討することが大切です。奇抜なアイデアも、意外とすんなり実現できたり、将来の間取り変更を見越したプランにすると、かえって経済的だったりすることも。リフォーム会社の経験と実績を大いに活用したいものです。

◆心地よい、子供の居場所

 リビング・ダイニングをうんとオープンな空間にして、そこに子供のために心地よい居場所をつくってあげるのはどうでしょうか。
 小学校前までなら、その一角に「子供コーナー」を設けるだけで充分でしょう。ござやカーペットなどを敷いて領分を決めてあげると、子供は「自分の場所」と感じて満足します。おもちゃや絵本などを収納する棚を用意すると、整理整頓のしつけもできます。

◆勉強するための「定位置」

 子供が小学生になったら、「子供コーナー」を進化させて「勉強コーナー」にしてみるのもよいでしょう。小学生になったのを機に、個室を与える親は多いかもしれませんが、親の目と声がタイミングよく届く工夫が大切です。
 「勉強コーナー」には、大きな学習机ではなく、そこそこの奥行きがあるテーブルで結構。必要に応じてパーティションを立てます。あるいは、いっそダイニングテーブルを思い切り大きくして、そこに子供の「定位置」をつくってあげるのも方法です。

◆親にもうれしい空間に

 子供がリビング・ダイニングで過ごす時間が長くなるようにすると、子供部屋は寝室の用途が主なので小さめでもよくなります。その分、夫婦のプライベートルームを大きくして、ゆとりのあるウォークインクロゼットを設けたり、書斎や書庫をつくることも可能になります。

 
 
40代のリフォーム


40代のリフォーム

親子関係を円滑にする
間取り・動線

 40代の世帯主であれば、子供は中学生から高校生くらいでしょうか。リフォームの動機には「子供部屋がほしい」のウェイトが大きいかもしれません。
 小学校高学年くらいから中学生にかけては、生活空間の中で適当に親と距離をとって、心理的な自立を促す時期。そして高校生は、個を確立して大人への入り口に近づく時期。難しさもはらむ思春期、どんなリフォームで成長を助けましょうか。

施主の声から
「クローゼットがすごく広くて、モノが何でも入るところがいい」
「ドレッサーは寝室ではなく、家事動線上にあるほうが使いやすい」
「インテリアテイストは、(気に入っていた旧宅と)同じ感じに」

 収納はリフォームの永遠のテーマですが、おそらく世帯主40代にとってもっとも切実なのではないでしょうか。というのも、子供が中高生くらいになると、もう大人と同じくらいにたくさんの物を持っていますから。衣類や靴、大小の趣味用具など、増えゆく物のコントロールが暮らし心地に関わってきます。
 快適さ、美しさ、便利さを追求するリフォームを、もっと自由な発案で、もっと柔軟な発想で楽しみましょう。住まいづくりの常識や定石から、いったん離れてみると、問題解決の答えが早く見つかるかもしれません。かなりの難題もこなす力量を多くのリフォーム会社は持っています。
合理性や機能はもちろん大切ですが、ただ便利さや広さだけに終わらない、余裕を感じさせるリフォームにしたいものです。例えば、床や壁、ドア、照明など、一つひとつの部材にまで個性や趣味を光らせてみてはどうでしょうか。細かなところへの目配りで、空間の質はぐんと高まります。

◆個室を“孤”室にしない

 子供部屋にありがちな配置といえば、戸建てなら居間を通らずに行ける2階のひと間、マンションならリビングから離れた洋室。40代のリフォームでは、この辺から見直しを検討してはどうでしょうか。
 中高生になると、独立性の高い部屋を求めるでしょう。その希望を尊重しても、帰宅後、家族の誰とも顔を合わせずに自室へ直行、というのは避けたいものです。個室が〝孤?室にならないような動線の配慮が大切です。

◆オープンな場所で勉強

 親としては、勉強部屋との期待を込めてのリフォーム。集中力があって、時間の使い方が上手な子どもなら、個室で心配ないでしょう。
 ただ、そうでないケースもあります。
 放課後、すぐに帰宅せず、学校の自習室や図書館で勉強してから帰る高校生が、けっこう多いと聞きます。家に帰れば、きっと立派な自室があるのでしょうが、漫画や音楽、DVDにインターネット、ケータイやスマホ、たぶん好きなものに囲まれ過ぎて、勉強に集中しにくいのかもしれません。
 やや発想を変えて、高校生の彼らが選んだ場所――自習室や図書館――の特徴をリフォームに取り込んでみるのも悪くないプランです。
 つまり、オープンな空間で、周囲に適当に人の気配や動きがあり、少しくらい他人の話声が聞こえてもかまわない場所。すると、これは20~30代のリフォームで提案した「勉強スペース」に似てきます。

◆動線改善でゆとりの時間

 専業主婦世帯761万に対して、共働き世帯は1078万。子どもに手がかからなくなったので、夫婦でフルタイム勤務、あるいは妻がパートタイム、という40代の世帯主も少なくないのでは。
 働くママが切に求めるのは「時間のゆとり」でしょう。となれば、リフォームでは家事動線・生活動線の見直しが必須です。日常の無駄な動きを減らすことで、わずかずつでも時間がつくれます。気持ちに余裕ができます。
 また「自分の時間」と「家族との時間」を増やしたい、という希望も強いはず。家族それぞれが、思い思いのことをしながら集える間取りが、その希望をかなえることになります。先に述べた、中高生の「勉強スペース」も、その一例と考えることができます。
 ただでさえ親子の会話が少なくなりがちな年頃ですが、中学校・高校卒業後の進路選択など、日頃から話しておきたい大切なことがあります。リラックスした雰囲気で顔を合わせながら、ちょっとした機会に、なにげなく、でも、しっかりと意思を確かめ合う――そんな時間が自然と生まれるのが、40代のリフォームのひとつの理想と言えましょう。

 
 
50代のリフォーム


50代のリフォーム

介護と同居
近い将来を見越して計画

 50代はリフォーム需要の大きい年代です。同居する親の介護や、介護が契機の新たな同居が現実的に――そんな理由が多くなるのも、50代のリフォームでしょう。 ㈱住環境研究所(東京)が全国の中高齢者(55~64歳の男女)を対象に実施した「親の介護に伴う住まい変化調査」(2010年)によると、約4割が介護を契機に住まいに変化がありました。「リフォーム」73%、「建て替え」11%、「新しく戸建てに住み替え」12%、「新しくマンションに住み替え」4%という内訳です。
 また、同研究所の「介護と同居に関するアンケート調査」(2010年)では、調査対象となった55~69歳のうち、61%が親の介護を契機に同居を検討しています。「親を呼び寄せて同居」32%、「親の住まいへ行って介護」24%、「新しく住まいを探す」5%という内訳。「施設に入所」を検討しているのは23%でした。
50代のリフォームは、いますぐ必要ではないにしても、同居と介護を視野に入れて行なうべき、といえるでしょう。

施主の声から
「夜には間接照明だけにして、ワインやウイスキーを飲むのが楽しみ」
「私の細かな要望やこだわりにも対応してくれて、安心してリフォーム」
「年齢を考えると、少しでも早く改装して、きれいな家を長く楽しみたい」

 年代としては、子供たちが巣立ち始め、夫婦二人の時間が多くなる頃でしょうか。リフォームには自分たちの趣味嗜好を思いきり発揮することができるのでは。内装、家具調度、照明など、気に入ったものを揃えて、好みの雰囲気を叶える空間づくりを楽しんでみましょう。
 カーペットやフローリング材、カーテンだけでなく、ドアノブ、スイッチ、キャビネットの引き出し、浴槽、蛇口の水栓といった、毎日触れる部分や箇所を大切に選びましょう。色柄という見 た目だけでなく、触れてみた感じや趣にもこだわって。住まいの心地よさは細部からもでき上がっています。
 人生第2のステージを意識したリフォームも、この年代からかもしれません。大がかりな改修をするのであれば、併せてバリアフリー化もしておくとよいでしょうし、子世帯のライフプランによっては2世帯同居も視野に入れてのリフォームに。少し先を見越した備えが、後のゆとりにつながります。

◆将来に備えて、いまから

 リフォームの主眼は、やはり、バリアフリー化でしょう。
築年数の浅い住宅なら、屋内の段差解消などのバリアフリーが標準仕様となっていることが多く、いくらかの調整工事で済むかもしれません。一方、かなり古い住宅の場合は、大がかりなバリアフリー化工事を想定しておきましょう。
 親だけでなく自分たちの老後も考えると、これは今やっておくべき投資といえます。すぐに利用しなくても、手すりをつけるための下地を壁に入れておくなど、将来を見越したリフォーム計画を立てましょう。
 浴槽や便器など、バリアフリー仕様の設備は、家族みんなにとって使いやすく、便利なもの。現在の、あるいは将来の介護の必要を見据えたリフォームは、高齢の親だけでなく、同居する家族みんなの関心事にしたいものです。

◆交流と独立性、ともに

 二世帯同居に向けたリフォームを満足のいくものにするには、世帯の交流と独立性、どちらもよく考えたプランが重要です。
 世帯の交流は「場づくり」にかかっています。たとえば、同居家族が集って食事ができるダイニング、一緒に過ごせるリビング、みんなで料理ができるキッチンなど。スペースに制約があるのなら、メリハリをつけて、最も大切にしたい場所をうんと広くしてみるのもよいでしょう。

◆満足度高める上手な分担

 世帯の独立性に関わるのは、空間や設備をどれくらい専用化するか。つまり、自分たちだけで使う場所をどこにするか。これが満足度を大きく左右します。同居タイプ(完全同居・部分共有・完全分離)によって異なりますが、親世帯・子世帯のライフスタイルや生活リズムの違いを踏まえて、慎重に検討しましょう。
 世帯の独立性でもうひとつ忘れてはならないのが、光熱費などの経費の分担。世帯ごとに分ける方が、同居の満足度が高いようです。ただし、高齢の親が負担するのは難しい場合があるでしょうし、契約や施工の都合で電気やガスのメーターを別々にできないこともあります。メーターが一緒でも、1~2年かけて、どちらの世帯も納得できる負担額の按分方法を見つけましょう。

 
 
60代のリフォーム


60代のリフォーム

期待される
多世代同居のけん引役

 いま、リフォームにいちばん意欲的なのが60代です。
 戸建てでも、マンションでも、リフォームの施主となる割合は、60代が38・2%と、50代の27・7%に大きく差をつけて、年代別でトップです(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会の平成24年の調査による)。戸建てとマンションを合わせた全体では、3年前から60代のウェイトがもっとも高くなっています。
 工事内容は、身体機能の衰えに備えたバリアフリーだけでなく、自分らしい暮らしをかたちにする積極的な空間づくりも多いようです。

施主の声から
「こんなに暖かくなるなら、もっと早くリフォームしておけば…」
「やってみて初めてわかった。毎日の掃除は本当にたいへん」
「在宅介護になっても安心して快適に生活できる家に」

 寒さへの不満は、リフォームの理由のいつも上位。60代にもなると、それは健康へも大いに影響してくるので、早めの対処が必要です。よく使う場所を暖かくする改善はもちろん、屋内で極端な温度差が生じないような配慮も欠かせません。生活動線の再検討から始めて、リフォーム計画を立てましょう。
 日々の掃除をはじめ、手入れの楽な家にすることも60代のリフォームでは大きなテーマです。将来の身体の機能の衰えを計算に入れて、ホコリのたまりにくい空間や汚れの落としやすい素材などもリフォーム会社から提案してもらいましょう。メンテナンスのしやすさも快適さの条件です。
 「いずれ介護を受ける身になっても、できるかぎりは自宅で生活したい」という思いは、多くの人が持つのではないでしょうか。介護への備えは、60代のリフォームの必須事項といえましょう。介護者・介助者になることが多い同居家族への負担を、リフォームによって、あらかじめ軽減することができます。

◆維持管理のしやすさ

 子供が独立し、自分も定年を迎え、これからの時間をどう過ごすか――。60代のリフォームは、第二の人生のライフスタイルと密接に関わってきます。
 一緒に暮らす安心感や経済的なメリットを求めて、子供との同居を考える人もいれば、利便性を優先して、都心部のマンションへの住み替えを考える人もいます。
 いずれにしても、長い老後のために住まいで重視するのは、ひとつには維持管理のしやすさでしょう。家屋敷の手入れは、意外と体力を使うもの。この年代になると、実感します。
 戸建てでは、外壁材や屋根材を耐久性の高いものにしたり、ロードヒーティングや融雪槽を取り入れて除雪の負担を減らす、外周りのリフォームがあります。また、便利さと安全を考慮して、火を使わないオール電化など、設備面の一新も外せません。
 維持管理のしやすさでは、マンションに軍配が上がりそうですが、維持管理費や修繕積立金といった費用、そして修繕箇所や工事時期、頻度などを総合的に判断して選ぶべきでしょう。「ウチには必要ないから払わない」というわけにはいかないものですから。

◆志向の違いを意識して

 シニア世代が住まいに求めるものとして、もうひとつニーズが高いのは、趣味の部屋。自分のための専用空間です。
 夫婦2人の時間が長くなるといっても「1人の時間を大切にしたい」「1人の空間がほしい」というのが本音でもあります。とくに女性に、この傾向が強いようです。くわえて、女性のほうが男性よりも、友人との交流や社会との接点を維持したいと強く望んでいるようです。
 こうした男女の志向の違いは、仕事をしている男性には分からないもので、定年を迎え、家庭に腰を据えたときに急に気づくものではないでしょうか。あるいは気になり出すものではないでしょうか。
 リフォームにあたっては、このような志向の違いを互いによく理解しておくことが大切ですし、二世帯同居であれば、子世帯にもよく知ってもらうことが、満足できる住まいづくりの前提条件になります。

◆2・5世帯同居、増える

 住宅メーカーの旭化成ホームズ(東京)によると、60代の親と単身の子どもの家族は、30年前のほぼ3倍、300万世帯を超えるそうです。同社では、そうした親と単身の子の一家に、結婚した子ども家族が加わる世帯を「2・5世帯同居」と名づけました。同居形態は、親夫婦+息子一家+単身の娘というパターンが中心だといいます。
 こうした多世代同居が、これから新しい暮らし方と、それを包む新しい住まいのかたちを生み出していくことになるでしょう。もちろん、同居に際してはリフォームをするケースが多いはずです。60代のみなさんには、続く世代のリフォームのお手本をいろいろと示してほしいものです。