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 秋になると扇形の葉が黄色に色づいて秋らしい景色が楽しめるイチョウの木。街路樹や公園でよく見かけるイチョウは、日本各地に植えられています。秋が深まり落葉の頃になると丸い実が熟して、異様な匂いがします。子供の頃、イチョウの実と気づかずに踏んでしまい、靴の底に果肉をつけたまま、家に帰って、玄関が臭くなった思い出があります。

[ぎんなん]

 熟した果肉を取り除くと硬い殻の中にぎんなんが入っています。串に刺して素揚げにしたり、茶碗蒸しに入れたりと、和食によく使われます。楕円形のかわいらしい形、もちっとした食感、ほんのり苦みのある味は一粒で秋を感じます。ぎんなんはたくさん食べるとよくないそうですが、1年に数回は食べる機会があるのではないでしょうか?

[長寿の木]

 イチョウの木は、長寿の木が多く、各地に巨木があります。青森県おいらせ町にある「根岸の大イチョウ」もそのひとつで、推定樹齢1100年以上。高さは32メートルの高木です。幹周は16メートルもあるので、近くの鳥居や、大イチョウを見に来た人たちもイチョウの傍ではとても小さく見えます。

[針葉樹]

 イチョウは平らな葉っぱの形や幹の様子を見ると、広葉樹だと思われがちですが、松や杉と同じ針葉樹に分類されます。


[歪みにくく水に強い]

 イチョウの木は、他の木材とくらべると歪んだり反ったりすることが少ない木材です。布を裁ったり、印をつけたりする際に用いる裁断用の裁ち板に使われます。水に強く、適度なクッション性があることからまな板にも適しています。他にも碁盤や将棋盤、お寺で使われる木魚もイチョウの木を使うそうです。


[まな板]


 我が家では、4年前からイチョウのまな板を使っています。イチョウの他に、ホオのまな板とヒノキのまな板がありますが、イチョウのまな板は水切れがよく、一番頻繁に使います。

[黒ずみになりにくい]

 イチョウのまな板は黒ずみになりにくい気がします。木のまな板は何年も使っていると色が濃くなったり、黒ずんだりします。イチョウの木も色は少しづつ濃くなりますが、黒ずむことはありません。ヒノキのまな板は、木口(年輪がみえる側の側面)は水を吸い込みやすく、黒ずみになりやすい部分ですが、イチョウの木は木口も黒くなりません。我が家では、まな板を使う前にさっと水にくぐらせてから使います。使用前に水に濡らすと食材の匂いや色素が染み込みにくくなります。汚れが付きにくくなり、長持ちします。

[小ヒビができにくい]

 ヒノキのまな板は乾燥すると木口に小さなヒビができたりします。イチョウのまな板はヒビができにくいようです。

[匂い]

 イチョウのまな板の唯一気になる点は、使いはじめは、イチョウ特有の匂いがすることです。しばらく使っているうちに匂いは薄れて気にならなくなります。

[木のある暮らし]

 公園などで見かける身近な樹木イチョウは、暮らしの道具としても使われています。街路樹のある道を歩きながら、木のある暮らしを考えてみるのも楽しいかもしれません。

参考文献
とうほく巨木紀行 植田辰年著 河北選書
木材居住環境ハンドブック 岡野健他編 朝倉書店

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